2011年9月14日水曜日

報告: 陳情書

12日、文教・常任委員会の審議の結果、私たちの陳情は採択には至らず、継続審査となりました。

「1日10件の測定ができるようになる」という市の説明通り、前進であることには違いありませんが、個人的には、先日の新聞記事にあった施策(シンチレータ1台購入)でお茶を濁された感じがしています。
放射能汚染の問題は多岐に渡り、陳情案件は緊急・重要な課題として焦点を当てて取り組んできましたが、あくまで1ステップとしての位置づけでしかありません。
今後も、質問書・要望書などの形態で継続的に行政との交渉を続けていくことが必要です

市政は最終的には行政執行部の判断に負う所が大きく、民意反映してもらう為には、行政との建設的・協力的な関係構築が必須と思っています。
この姿勢は6月に教育委員会と話を始めて以降変わりありません。

私たちが守りたいのは子どもたちの健康です
(行政交渉や議員相談の煩わしさに振り回されることなく)その目的だけに意識を集中させて、これからも活動を続けていけたらいいかと思います

今回の一連の活動を通じて、行政との交渉の難しさを実感しましたが、諦める訳にはいきません。

今日初めてお会いできたので、教育委員会・学校健康課長にも、行政/市民の建設的・協力的な関係構築が必要と考えている旨をお伝えし、挨拶してきました。

以上、取り急ぎ、陳情の審議について報告いたします。



以下は、政府交渉の難しさを感じた実態の報告です。
あまりハッピーな内容でないので、興味のある方だけ、お読み下さい。

◎『行政は市民に対して閉じている』 『行政は手の内を見せたがらない』 ことを思い知らされました。
・陳情内容に対して、行政執行部(教育委員会・学校健康課)は議会から常任委員会の場で参考意見を求められることを知っていました。

・それなので、議員さんへの働きかけと合わせて、私たちは「議会に対して妥当な提案をしてほしい!」という思いで、陳情内容の必然性や具体施策案の説明を続けてきました
その中で、できる限りの情報提供をし、理解を求め、行政として妥当な検討・施策を求めてきました

・常任委員会を前に双方向の議論を求めて、「提案内容をお聞きして、意見交換したい」として懇談を申し込みましたが、「まだ提案内容が決定していない」として一旦断られました。
対して「提案内容見直しの余地があり、意見交換するにはむしろ好都合」ということで執拗に申し込み、9日(金)に会合しました。

・9日(金)当日の会合では、会からの提案としてシンチレータ10台購入の案について、測定時間(16分)、一日当たり測定件数(24件)、予算430万円についてもお話し、参考資料も残してきました。

◎行政との会合翌日10日(土)に市の施策(シンチレータ1台購入)の新聞報告があり、2つの意味で失望しました。
・1つには、購入台数が圧倒的に少ないこと。 

・県下では鹿沼市が給食食材の自主測定実施を決定しましたが、導入機器数を学校数で割った導入比率で見ても圧倒的に機器数が少ないようです。

・議会で参考意見を求められて「何もしようとしていない」という状態では行政として格好がつかないから、まずは1台購入という既成事実を作ってお茶を濁そう、という風にも見えます。

◎失望した理由のもう一つには、行政と市民の間の信頼関係に大きく傷をつけられたということ。
・10日(土)の新聞報道により、まず「まだ提案内容が決定していない」と言っていた会合拒絶理由が虚偽であったことが判明しました。 民意など反映される余地なく、実は全て決まっていたことを思い知らされました

・会合では、行政から議会に提出する提案内容について何度質問をしても、はぐらかしを続け、決して提案内容を教えてくれませんでした
市民側からの要望を受けても、行政で検討した内容を一切公開せず、同じテーブル上での議論を拒否する姿勢が明らかになりました。

・会からの測定時間・件数の説明「測定時間(16分)、一日当たり測定件数(24件)」についても、会合では議論を避けてノーコメントでした。 しかし、翌朝の新聞報道では「測定時間(30―60分)、一日当たり測定件数(10件)」とされています。 12日の議会コメントも同じでした。

常任委員会では市民は傍聴者でしかなく、教育委員会がどんな提案をしても一方的に聞くだけで、発言権は認められていません
だからこそ、事前の自由な意見交換を求めてきていたのに、なぜ持論をひた隠し、市民との議論を避けるのか

新聞報道を見て、だまし討ちに遭わされた気がしました
6月以降、何度も役所に足を運んで、電話やメールでも相談を続け、個人的には信頼関係を築いてきていると感じていただけに、あまりに市民を馬鹿にしたような対応に直面させられ、悲しかったです、、。

◎会合を振り返って、行政の危機意識にも疑問を感じました。
・会合で「会の動きによって行政が動かされた。会の勝ち。」とコメントされましたが、市民からの声が上がらなかったら自主測定を実施する意思が全くなかったということでしょうか?
もし本心から来るコメントであれば、危機意識の欠如甚だしい状況です。 そんな筈はないと思います。

・陳情内容の必然性や重要性を理解頂きたく、私たちが集めてきた参考資料を行政や議員さんに提出させて頂きました。 意識したのは、
○汚染の状況、被爆の危険について、誰が見ても分るような客観証拠を集めること
○行政・議員さんが目を向けてくれるように、なるべく文科省、厚生労働省、農水省など国からの発信情報を引用すること
○出展の不明な文献は(なるべく)用いないこと
○「問題提起から現実的な対策の提案まで」、起承転結で資料を並べて、伝えたい結論をまとめること
○(宇都宮の行政施策が遅れている実態を問題提起するために)他の自治体の施策事例をたくさん盛り込むこと でした。
ただただ、必死の思いを伝えたかったのです。
・資料は全部で100ページぐらいになったと思いますが、資料について(恐らく冗談で)「全部は見られないですよ」とコメントされました。 こちらが提出するレベルの情報・知識ぐらいは既に知っておられて当然の話で、もし本気で「全部見られない」と仰っているのなら、業務の怠慢です。

・学校健康課が扱う内容は放射能汚染の問題だけではないことは当然ですが、業務範囲内、それも今や重大な位置づけにあるべき業務だと思います。
私たち市民グループでは普段の仕事とは別に、子どもを守りたい危機意識だけでプライベートの時間で勉強を積んでいます。
危機意識の欠如から来るそのような言い訳は決して認められるものではありません。

◎陳情は子どもたちを守る親の一方向からの提案であることは理解しています。
・行政では、市の予算など、私たちが勘案できない内容も総合的に検討して、施策決定するものと思います。

・しかし、市民の要望や問いかけに対等に向き合い、答えようとしないこれまでの姿勢は役所の怠慢であり、職務を果たしていないと思います

「まともに向き合って答えられる状態にないから、直接議論を回避しようとしている」ように見えます

・放射能の専門家でない教育委員会がこの未曾有の大惨事に対して、なんの迷いもなく独自の前衛施策を次々と繰出せるとは正直思いません。
そういった状態を責めようとは決して思いません。

・逆に、だからこそ行政・市民・専門家・利害関係者などが集って、オープンに話し合う場を設定することが必要だと思います。 子どもの健康を守り、農家・酪農家などの利害関係者を守り、地域社会を支える為に、協働が必要だと思います。
*上の意図で、県のプラットフォーム事業にもテーマ応募し、現在、審査結果を待っています。

・6月に初めて教育委員会に話に行った時から、『子どもの安全に関して学校任せ・行政任せではいけない。 大人全員が主体的に考え・行動することが必要。 みんなで話し合う必要がある。 行政と建設的・協力的な関係を築いていきたい。』 ことを言い続けています。

・早く通じてほしいと思います。

◎結論、私たちの市政を支える行政の実態についても現実直視から始めないといけないと思いました。
その上で、行政と市民が距離を縮められるように、そして市政に民意を反映してもらえるように、私たちが行政に働きかけることが必要だと思います。
「子どもの健康を守る。 農家・酪農家などの利害関係者を守る。 地域社会を支える。」 これらのことで、みんなの利害は一致しています。
あとは、みんなのバランスポイントを探って具体施策を検討すればいい。
その為に、まずはみんながオープンに話せるような土台作りが必要です。


◎行政交渉と並んで、議会機能についても、考えさせられました。
常任委員会での行政・執行部(教育委員会)に対する訴求・質問があまりにも甘い!
 端的にいうと、十分な議論を尽くすことなく、あの程度の審議・議論しかなされないで議会結論が出されて、市政反映されると知って、恐ろしい状況だと思いました

・シンチレータについての行政説明も理解できず、勘違いしてゲルマニウム半導体検出器のことを持ち出して「測定に3時間かかるということでは、現実的には問題がある」と言う様なコメントをする議員さんがいました。
全く不勉強で、陳情の中身を理解できていない議員さんには、市民代表として陳情内容を審査する資格がありません!

・「陳情項目の精査に当たって調べた内容をベースに、その必然性や実行性についてより詳しい説明をさせて頂きたい。 議会で審議がなされる際の一助となることを願ってのお願いです。」として全8会派に面会を申し込みましたが、この会派だけは面会に応じず、2度の申し込みに対して、回答連絡すらありませんでした。
結果、議論できる土俵に上がることすらできていない状態。

・更に追及すると、他の議員の方も、あの様なコメントを見過ごすのは同罪じゃないかと思います。
事前勉強含めてもっと真剣に検討・審議してほしいし、他会派・他議員の不勉強を叱咤するぐらいの勢いがほしいです
議員同士が仲良しクラブでは困ります

・常任委員会では測定の必然性に関する議論が殆どなされなかったことが非常に残念です。
継続審査になったので、明日から早速、追加検討してくれる様に働きかけたいぐらいの気持ちです。

・各議員さんに投げかけたい質問として、
 ○「安心と安全」は異なるという認識を持っているのか?
 (国は「安心」を与えようとして、しきりに安全神話を吹き込もうとしているが、)市場流通する食品に対してサンプリング測定される数が圧倒的に少ない状況をどのように理解しているのか?
 その結果として、セシウム牛が学校給食を含め市場流通してしまった問題をどのように見ているか?
 食品の安全保障が不足しているという認識を持っているか
 或いは、このままで安全確保できていると思っているのか?
○他府県や県下でも多くの自治体が自主測定を始めている実態をどのように見ているのか?
 宇都宮では国からの指示が下りるまで自主的には何もしないままで良いと思うのか? シンチレータ1台で事足りると思っているのか?

・現在の食に安全に関して、どのような現状認識の下に、今回の陳情案件(給食食材の測定)の必然性を検討しようとしているのか?
議員さんごとの認識は異なるはずです。 ですが、これに関しては一切話されませんでした。

・「心配する親の気持ちを察する」というコメントが続発しましたが、チェルノブイリでは実際に健康被害に遭っている子どもたちがたくさんいることを知らないのでしょうか?

空虚な言葉で「安心」を与えようとせず、まず具体的な施策によって「安全」を確保すべきです。 そうすれば自ずと安心はついてきます
風向き予測その他、情報隠蔽体質が良く知られてしまった今、国の安全神話を鵜呑みにしない国民は増えています。

・本来、必然性有無で採決の可否判断されるところが、実際には実現性判断が大きく影響することは、先に聞いていました。
・その通りの結果になったようで、枕詞のように「願意はよく理解できるが、、」とコメントして必然性に関する見解を一気に省略した後で、釈然としない空虚なコメントを続ける議員さんが大多数であると感じました。 

・そんな中で目を引いたのは、「(100%の検査実施は現実不可能な為に)陳情書の中の「必要数」と言う言葉に引っかかりはあるが、宇都宮市として今後、より安全を保障する体制を作っていこう! と言う『意思表示として』この陳情は採択すべきと考える。」と仰った議員さんのコメント。
・私たちの意思と合致するコメントであると思いました。

・また、真摯で慎重な審議をして頂きたい思いで、議員さんに対しても同じく、陳情内容を説明しました。
更に一歩進んで、各会派で検討いただいている内容をお聞きして、意見交換する懇談会の設定も申し込みました。
・これに対し、行政と同じく、市民との直接の意見交換を頑なに拒否する姿勢が一部有力会派に見られました。 なぜ市民代表である議員さんが市民との直接対話を拒まれるのでしょうか?
・やはり「まともに向き合って答えられる状態にないから、直接議論を回避しようとしている」ように見えますが、実際はどうなのでしょうか?

・常任委員の方々に参考人制度の適用を強く求めてきましたが、これも叶いませんでした。
先述の審議するに資格すらない様な議員さんがいる中、陳情者には参考意見を提案する機会も許されず、指を加えて空虚な議論を見守るしかなかった、非常に辛い委員会でした。


以上、私の所感に対して、行政担当者や議員さんからの異論・反論などフィードバックコメントを求めてみようと思います。
「乗り越えないといけない壁」ぐらいに思っています。

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